関の氏神

亀山八幡宮

境内散歩

金子みすゞの詩

画 熊谷まちこ

「夏越まつり」
夏越(なごし)まつり
ぽつかりと
ふうせん、
瓦斯(ガス)の灯(ひ)が映(うつ)るよ。

影燈籠(かげどうろう)
人どほり、
氷屋(こほりや)の聲(こえ)が泌(し)みるよ。

しらじらと
天の川、
夏越祭の夜更(よふ)けよ。

(つじ)を曲れば
ふうせん、
星ぞらに暗いよ。


「噴水の亀」
噴水(ふんすい)の亀

お宮の池の噴水は
水を噴(ふ)かなくなりました。

水を噴かない亀の子は
空をみあげてさびしさう。

(にご)った池の水の上
落葉がそつと散りました。


「鶴」
(つる)

お宮の池の
丹頂(たんちゃう)の鶴よ。

おまへが見れば、
世界ぢゆのものは、
何もかも、網(あみ)の目が
ついてゐよう。

あんなに晴れたお空にも、
ちひさな私のお顔にも。

お宮の池の
丹頂の鶴が、
網のなかで靜(しず)かに
(は)をうつときに。

一山(ひとやま)むかうを
お汽車が行つた。


雨の五穀祭(ごこくさい)

ざんざの雨に流された、
五穀まつりの夜更(よふ)けて、
いまはちらほら星が出た。

誰もとほらぬ、ぬかるみに、
消えた提灯映(ちょうちんう)つてる。

遠い通りを自動車で、
わつと囃(はや)して通るのが、
空ゆくやうに、きィこえた。

ひとつ、ふたつ、みィつ、
お空に星がふゥえた。

どこかの軒(のき)の提灯が、
またひとつ、消えた。


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